竜の道 飛翔篇



白川 道 (著)

義父母をはじめとした世間から虐げられてきた双子の兄弟、竜一と竜二。クソのような人生とオサラバするために嵐の夜、完全犯罪を決行する。胸に秘めた復讐を果たすべく、弟はエリート官僚の道を選び、兄は裏社会の力を味方につけた。双頭の竜が修羅の幕を開ける。

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面白い本と出合いましたね。このような悪役が主人公の小説は『ピカレスクロマン』といった分野になるのかな。こういうものが好きな人なら最高級の部類に入るのではないだろうか。おいらは・・・ここまで心が『悪』の人間は、そうはいないと信じたいな。まあ、小説の中のことだけど。

この小説は3部作の予定のようで、次も早く読みたくなってくるね。今回の『飛翔篇』、兄の竜一の活躍がほとんどで、弟の竜二はあまりでてこなかったけれど、次篇ではエリート官僚の弟、竜二の話しなのだろうか。もしそうだとしたら、裏社会がふんだんに描かれている飛翔篇にたいして、東大から運輸省エリート官僚になった竜二の『悪』の描きかたに興味がつきないね。

白川道さん、いろいろな意味で凄い作家だと感心します。