ポーツマスの旗



吉村昭

日本の命運を賭した日露戦争。国民の多大な期待を肩に、全権・小村寿太郎ポーツマス講和会議に臨んだ。ロシア側全権ウイッテとの緊迫した駆け引きの末に迎えた劇的な講和成立。しかし樺太北部と償金の放棄は国民の憤懣を呼び、大暴動へ発展する――。近代日本の分水嶺日露戦争に光をあて、名利を求めず交渉妥結に生命を燃焼させた外相・小村寿太郎の姿を浮き彫りにする力作長編。

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将棋の名人戦など好局では、終盤にさしかかれば一手一手指すほうが俄然良く見える。
相手の猛攻をしのぎ、守勢にまわっても力を溜めて反撃の機会を常に狙っていく。その一手一手に輝きがあるように感じるね。

この話は日露戦争後の講和の話し。外交の名人同士が、お互い自国には厳しい条件を抱えながら交渉を進めていく。まさに丁々発止のやりとりである。
おいらなんて相手の言い分をすぐに信じてしまうほうなので、ウィッテが発する言葉なんか聞けば「それもそうだ。ロシア側の言い分のほうが正しいかも」と思うが、小村寿太郎も負けじと返す「ほう、これなら日本側の言い分のほうがもっともだ。」
一度は交渉決裂になりそうになるが、本国の意向で互いに決裂は回避できたね。

小村寿太郎は家庭人、社会人としては褒められた人ではないようだが、外交官としては一流の中の一流だったようですね。

おりしも、日曜日からNHKスペシャル大河ドラマ坂の上の雲』がはじまります。
おいらは普段テレビなんて見ることはほとんどないですが、これだけは見てみようと楽しみです。