還るべき場所

 

笹本 稜平/著

登攀中に恋人を遭難で失った翔平。彼は過去に立ち向かうため、登山ツア
ーのガイドとしてK2に戻ってきた-。圧倒的な迫力で描く感動のアドベ
ンチャーミステリー。

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本が好きな人にとってこういう経験はあるだろうな。

さて、寝る前にちょっとだけ読もうと思って読み出すもなかなか面白い。
もっともっと読み続けていたいが、明日も仕事だしもう眠らなくてはな
らない時間はとっくに過ぎている。
電気を消して眠ろうとするも、頭は冴えてしまっているし、次の展開も
気になってしかたない。完全に目も覚めてしまったな。えーい!読んで
しまえ!本当は一気に読んでしまわずに、楽しみは何日にもとっておい
たほうがいいのだが・・・と思いながら。

うっすらと東の空が明るくなるころようやく読み終わり、多くの充実感
疲労感とを味わいながら眠りにつく。
次の日は当然睡眠不足だ。働かない頭と、やっぱり楽しみは何日にもわ
けたほうがよかったかなという思いで、少しの後悔をする・・・

若い頃はたまにはこういうこともあったけど、最近ではめっきりなくな
ったな。

最近は年だし、おいらは睡眠時間が人より必要な人なので、この本を読
むのにここまでは熱中しなかったけれど、家に帰って読むのが楽しみだ
ったし、読み終わった2日目はけっこう遅い時間までかかったな。
いやあ、久しぶりに没頭できましたよ。突っ込みどころもいくつかはあ
ったけどね。

これから読む人もいるだろうからネタバレしてもいけないので書かない
けれど、この本は文句なしに面白く、今までの山岳小説の中でも最高峰
のほうの部類だろう。
ただし、ス○イン製の道具の話だけはいただけないな。これはさすがに
書きすぎてしまっているように感じたし、あと一歩で楽しい小説が台無
しになりかねないとも思ったよ。

みなさんも読んでみて、楽しい日を過ごしてください。オススメです。