ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京 上下



楡周平/著

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京

安田講堂攻防戦」の別れから30年。革命の志も理想も捨てた
2人は、息子と娘の見合いの席で、運命の再会をする-。
1968年から1999年へ。2世代の男女を通じ、日本の上流
階級の実像をあらわに描く。



ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京

狂ってる。権力の魔力にとりつかれて、常軌を逸している-。
富と権力の結婚による完璧な閨閥に潜む死角。追いつめられた親
子が、最後に選択するものとは…。運命のドラマ、衝撃の結末。

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上流階級っていっても、この本にでてくる人は『成り上がり』の人だ
と思うのだが・・・

世界の歴史を見てみても、皇位継承の争いはそりゃあ酷いものだし、
富と権力を持つ名家の人たちは激しい家督争いをしてきていたことだ
ろう。相当えげつないこともやっているのだろうな。

そーいえば、この前、おいらはさる名家の跡継ぎの話でこんなを聞いた
っけ。

「ねえ、お父ちゃん、義兄さんのとこじゃあ、ついに男の子は完全にあ
きらめちまったみたいよ。」

「なぬ!ほんじゃあおらんがとこで男のぼこが生まれりゃー、ほいつが
家の跡継ぎかい!お母ちゃん頑張ってみんけ?」

「お父ちゃん、おらんがとこじゃあ10才くれーになる女の子が2人い
るけんどまあいいやね。男のぼこが生まれりゃー、あたしも世継ぎのお
母ちゃんっつうこんで義姉さんとも立場が変わっちもうね。そりゃーい
ーね。お父ちゃん大好き!頑張って。」

「よーし、おいらにまかせとけ。頑張ちゃうからなー」

ということでプスプスっと一刺しか二刺しして見事に出来た珠のような
男の子が、その家の、次の次の跡継ぎ第一候補となっているらしい。

という話ならそこらへんの庶民とそんなに変わらない感覚で『かわいい
話』なのだが、実際は日本最高レベルの医師がついて、ぜがひでも男の
子を妊娠させるべく、人口受精など、かなり科学的なあらゆる力も使っ
たんだろうなと想像するけどどうなんだろう。
おいらには医学的知識がまったくないので、確立が高い男女産み分けの
方法が可能かどうかはわからないね。

あ、この本ですね。とても面白かったです。上流階級の人が普通の人間
を見下している様子もうまく描けています。