港町食堂


奥田英朗/著

N木賞受賞でさらに多忙に、もっとワガママになった自称"品川イチの
偏屈作家"を待ち受ける受難の数々。毒舌炸裂、阿鼻叫喚、トドメに
感涙必至の紀行エッセイ。

目次

第1便 美人ママに叱られたい―高知・土佐清水篇
第2便 謎の生物VS.美人女医―五島列島
第3便 名もない小説家、ひとりたたずむ―宮城・牡鹿半島
第4便 N木賞などおかまいなし―韓国・釜山篇
第5便 食い意地のせいなのか?―日本海
第6便 極寒の孤島に閉じ込められて…―稚内礼文島

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

この本、作者の奥田さんの視点がおもしろい。今まで読んだ紀行文の
なかでもかなり面白いほうだ。
特に、ときおり見せる考察については、氏ならではの鋭いといころも
あり感心させられるところも多いな。おすすめです。

五島列島には教会が多いそうだ。
奥田さんは、『この一見のどかな島々に、よほどツライ現実があった
のだろうか』『キリスト教は、それほどまでに救いだったのだろうか。』
とあったけけれど、おいらが教会や布教といえば思い出すものはこれ・・・

おいらが小学校の頃、同じ学区の中にモルモン教会があった。とある友
達の誘いで毎週土曜日にお祈りに行くようになったのだが、行く理由は
『おいしいお菓子をくれるから。』で、長い長いお祈りの時間が終わる
と、見たこともないような上品なお菓子やケーキをくれるのだった。
おいらはお祈りなんてイヤでイヤでしかたなかったが、お祈りをしてか
らでないとお菓子は絶対にくれないのでしかたなくお祈りをしていたけ
れど、そのうちに飽きて参加しなくなっていったが、その友達をはじめ
何人かは長く通っていたらしく、やがては立派なモルモン教徒になった
人もいるらしい。

大人になって本などを読んでみると、アマゾンの原住民を教化させるの
にもキリスト教徒はこのような手法をとっていたらしいね。信仰心を最
初から植えつけるるのではなく、アーメンすればいいことあるよと。

当時は甲府市城東もアマゾンも、教化のやりかたにあまり違いはないよ
うである。

五島列島の人々も、案外信仰のきっかけなんて、『厳しい生活の中で信
仰を見つけた』というよりも、『厳しい生活の中、おいしいものをくれ
た』なんてものではないのかなあなんて想像してみる。


『てれんぱれん』という言葉、長崎地方では、なにもしなくて怠けてい
る人のことを言うらしいが、この言葉を聞いて思い出してしまったこと
がある。
似たような言葉を、達観が会社の昼休みによく叫んでいたっけ。その
思い出はこんなこと。

おいらたちは会社のパソコンにAI麻雀をインストールして、毎日昼休
みにお金を賭けてやっていた。(w  賭けていたといっても、割れ目
超インフレルールで、箱になった人は罰金300円を払って貯金箱にプ
ールしておくもの。その時のルールは機会があれば書いてみるが、なか
なか合理的で楽しいものだったなあ。
半年もやっていればけっこう貯まったので、みんなで飲みにいって楽し
かったっけ。

流局の時にテンパっていると、パソコンの音声で『テンパイ』というのだ
が、達観はよく、自分の声で『テンパレンパイ』とか叫んでいたっけ。
ははは・・・達観は貯金に一番貢献していたもんなー。カレの場合は、
なにもしなくて怠けていたわけではなく、動きすぎた結果テンパれなか
ったことが多いのだけど。

楽しかった日々だが、快く思っていない人もいたらしく、ある日みんな
で上司に呼び出されて怒られて中止になってしまったっけ・・・。
あれから数年、そろそろほとぼりもさめたから再開かという意見もある
がどうだろう・・・

あ、この本の話だったね。ホント楽しく読めました。