なぜかいい町一泊旅行



池内 紀/著
 
見知らぬ町の朝は、いいものだ――旅とエッセイの名手である池内紀が、
独自の嗅覚で訪ね歩いた、日本各地の誇り高き、十六の町の旅の記憶。

目次

北から南へ(フクロウの知恵―斜里町(北海道)
日本一巡り―上川町(北海道)
金の帯―岩内町(北海道)
木組みと流水―金山町(山形県) ほか)
東から西へ(カニのハサミ―渥美町(愛知県)
おもかげゾーン―朝日町(富山県)
湖北の知恵―木之本町(滋賀県)
ひいふみつよつ―岩美町(鳥取県) ほか)

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いやあ、いつかこんな旅、理想だよ。前に夢見たこともあったっけ。

平日の夜には週末に行く街の情報収集をしておく。とはいっても小
さな街なので、特に有名な名勝、旧跡があるわけでもなく、街が見
渡せる小高い丘の場所と、土地の名物料理を食べられる店を探して
おくくらい。簡単にその街の歴史や成り立ちなんかも調べておく。

金曜の夜中までかかって家事を片づける。土曜日の朝、早い時間に
家を出発して、なるべく高速道路をつかわずに見知らぬ小さな街を
目指そう。途中、興味があるものがあったら車を停めてゆっくり見
ていこう。景色のいいところのベンチに座り、家から持っていった
握り飯と糠漬けとお茶でみんなで昼ごはん。

目当ての街には3時頃には到着したい。宿泊場所はホテルや高い旅
館でなく、小さな旅館か民宿がいいな。到着したら散歩にいこう。
ちょっと離れた温泉に日帰り入浴もいいかな。

夜はご馳走は食べなくてもいいや。持ち込んだ日本酒で一杯やろう。
たいがや妻と、今日の行程で印象深かった場所などの話をしながら。
たくちゃんも同じ気になってあいづちをうってくれるだろう。
子供たちが寝たら、外の見慣れぬ街の景色を見ながらウイスキー
チビチビ飲んで、本を少し読んだら早く寝よう。

どうせ朝も早く起きてしまうだろうから、早朝に一時間くらい一人
で散歩をしよう。歩いて見ると『街の景色』も違って見えるんだよ
な。

チェックアウトしたら、来たルートとはまるで違うルートで帰路に
向かおう。また違う街の風景に会えることだろう。

やはり3時頃には自宅に着いていたいな。家事や次の週の準備があ
るだろうから。
夜は家族で今回の旅の想い出を話しながら、また次回もどこかへ行
こうと話し合おう。たいがが、「今度は○○市がいいな。いつか
行けるかな」なんて目を輝かせながら話す。たくちゃんもたいがに
合せて「連れていって」なんて叫んでいる。おいらは子どもたちの
そんな様子を目を細めて、おいしそうに日本酒を飲むのであった。

以上、創作した物語は終了。実際のおいらの旅は・・・

http://yaplog.jp/tiger-k/monthly/200604/
大阪日帰り弾丸ツアーだったりする・・・


まあ、こんな旅を計画してみたところで、

たいが「どうせいくならサッカーのアウェイ連れていけ」「宿題ま
だやってねー」「刺身か肉のご馳走がいい。」「こんな街つまら
ねー」と絶対大騒ぎ。

妻「週末なのに布団が干せない。」「月曜日までの仕事が山ほどた
まっている」「泊まるのはホテルがいい」

たくちゃん「車に飽きて暴れて大騒ぎ」「酒を飲んでるおいらにジ
ャングルジムがわりよじ登り」

恐ろしいことだが、現実に絶対おきるであろうことが簡単に想像さ
れてしまってとても計画する気にはなれんな・・・
そうはいっても妻が仕事復帰するまでには、一回くらいはこれに近
いような旅もしてみたいものである。

しかし・・・いつかここに書いたこともあるけれど、おいらは『遊
びに余力を残さない』タイプ。全力で遊んで疲れきった充実感が好
きなので、きっと恐ろしい計画になることだろう。