大空のサムライ



いい本の定義は人によっていくつかあると思うが、おいらの場
合は「何回も読み返せる本」も定義の中一つである。10代、
20代前半の頃は「銀河英雄伝説」全10巻を何度何度も読ん
だが30代になるとさすがに青く感じてしまう部分もあって色
褪せてしまった。最近では半藤一利さんの「昭和史」を何回も
読んでいる。「昭和史」については以前にブログに書いたこと
があるがまたの機会に詳しく書いてみよう。半藤さんにも一度
お会いしてみたいものである。

そしてまた何度目かの「大空のサムライ

これは太平洋戦争当時、零戦撃墜王として活躍した坂井三郎
氏の経験を綴ったものである。この本については記載と実際の
記録が違うとか、坂井氏が独善的すぎるとか、他の著書にも感
情的な部分が多いなど批判的な記事も見かけたこともあったが
当時の坂井氏の活躍はほぼ事実に近いことだろう。

おいらがこの本を何回も読み返す理由は相手の飛行機の撃墜の
しかたとか戦いの様子が痛快とかの理由ではない。太平洋戦争
という大きな歴史の流れの中で一個人ができることは限られる。
その中でも自分に出来ることにベストを尽くし、全体では負け
ていくことは仕方なくても自分では最後まで負けていない。
こういう坂井氏の姿勢を見習い、おいらもそんな気概を持ち
たくて何度も読み返している。

おいらの仕事はみなさんご存知のように日本全体の中では将来
的には敗北していくことは間違いないことだろう。しかし新年
の仕事はじめにあたり、今年こそ自分に負けない努力をしよう
と今回またこの本を読み返してみた。

と偉そうなことを書いても新年早々休んでスキーに行ってしま
った・・・

また、坂井氏で記憶に残っているのは「朝まで生テレビ」に日
本の戦争について出演したときのこと。うるさい論客を前に黙
らせた気迫があったっけ。他の発言では「日本が悪くなってい
くのは父親が毎日早く家に帰ってこないから。残業だ、やれお
つきあいだとかそんな場合じゃない。」みたいなことを言って
いたと思うが乱暴で極論だけど実際にそのとおりだと思う。

この元気すぎるご老人(失礼)は年に何回か講演会を日本各地
で行っていたので機会があればお会いしたいと思っていたが、
平成12年9月22日に84才にてお亡くなりになられたのは
残念だった。

半藤さんも昭和5年生まれなので会えるうちに会っておいたほ
うがいいかも。(w