あやつられた竜馬



加治将一/著

序章 全能の目
第1章 暗殺現場の謎
第2章 日本に上陸した秘密結社(フリーメーソン
第3章 長崎異人商会
第4章 グラバー邸に集った志士たち
第5章 薩英戦争の真相
第6章 密航者たち
第7章 革命前夜(グラバー・スキーム)
第8章 パリの密会
第9章 龍馬、孤立無援
終章 闇に消えたフリーメーソン
坂本龍馬

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まず初めに言っておこう。一般的な日本人の『龍馬像』なるものは、司馬遼太郎さんの『竜馬がいく』のイメージだよ。司馬さんが、『龍馬がいく』ではなく、『竜馬がいく』としたのは、司馬さん本人も『創作であるから』と言っているような記事を、昔何かで読んだ記憶がある。
龍馬ファンには申し訳ないが、坂本龍馬は現代人のイメージと現実ではかなりかけはなれているような気がしてならないね。
前に読んだ本だと、龍馬は剣の達人ではなかったともあるし、薩長同盟大政奉還船中八策なども『竜馬がいく』では竜馬の案だが、どれも実際には龍馬の功績であることは確証に乏しいよね。

龍馬のことでおいらは昔から疑問だったことがある。薩長同盟の裏書に、桂小五郎に求められて龍馬が裏書をしたのは事実らしいのだが、これって不思議だよね。言っては悪いが龍馬の身分が低すぎるのだよ。日本で二番目の大藩と幕府の敵が、倒幕のために同盟を結ぶ。その裏書に一介の脱藩浪士が保証を与える?そんなことはどう考えてもありえないよね。
もしどちらかが裏切ったらどうなるの?普通に考えれば893の抗争の仲介と同じで、裏切ったほうには『力による報復』があるのだろう。そのための裏書への保証だよね。これは龍馬個人の力ではなく、龍馬の後ろ盾となっている存在のことだろうことは想像つくよね。それが何者であったかは加治さんにより推測されているね。

おいらは今まで明治維新の本はいくつも読んできたけれど、このことだけでなくいくつも疑問な点があったね。

明治維新の中心人物たちが若すぎる。(いくらなんでも若すぎるでしょ・・・)
鳥羽・伏見の戦いの前にはあれだけ好戦的で、充分な戦力を整えた慶喜が、将兵を置き去りにしてさっさと船で逃げ帰ってしまう。(ありえないよね。その後は謹慎ですよ。よっぽど怖いものを見たのか?)
錦の御旗が翻った瞬間に『朝敵』になることをおそれた諸藩がいっせいに官軍についた。
コーランじゃあるまいし・・・)
などなどetc・・・

この本では今までおいらが今まで疑問に思っていたことの多くが加治さんにより推測されていて本当に参考になる一冊だったよ。加治さんの、『フリーメーソン黒幕説』までは手放しで賛同はできないけれど、明治維新が、薩長や朝廷の人たちによって日本を開国するべく倒幕したのではなく、日本の平和裏な民主化を望むイギリスの主導に行われたものであろうことは、おいらが今まで読んできて自分なりに推測したこと合致するものだね。

大河ドラマ篤姫は、おいらは見ていないので、達観の話でしかドラマの中で江戸城総攻撃が中止になった理由は判らないけれど、篤姫ファンには申し訳ないが、篤姫和宮の嘆願書なるもので攻撃を中止するなんてことは絶対にありえないことだぞ。
帰順を表明している側に対して一方的に攻撃をしかけることは、イギリスが絶対反対したに決まっているじゃないか。国際法上も問題ありそうだし、庶民に戦火も及ぶもんね。日本を平和裏に民主化させたいイギリスが、江戸城総攻撃なんか望むはずないじゃないか。

大河ドラマといえば、2010年の大河ドラマは「龍馬伝」ですね。物語の主人公・坂本龍馬福山雅治さんが演じるようです。どのような切り口で迫るのでしょうね。