霧のソレア



著者名
緒川怜/著

テロリストが誤って仕掛けた時限爆弾により、太平洋上を飛行中の289
人を乗せたジャンボジェットが大破。機長を失うが女性副操縦士の奮闘
で飛行機は成田空港へと向かっていた。しかし突然、通信機器が使用不
能となり地上との交信ができなくなる。飛行機をそのまま墜落させるた
め、アメリカが電子戦機を出動させ、電波妨害を始めたのだ。
―いったい、何故?米政府、CIA、日本政府、北朝鮮。権力同士の闇のつ
ばぜり合いと、最後まであきらめない女性パイロットの活躍が息を呑む、
壮大にして猛スピードで突き進むノンストップ・エンタテインメント。
第11回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


『ホントにこんな理由でジャンボジェットを墜落させようとするのか?』他、
いくつか『書きすぎでは?』と思えるところもあるように感じるけれど、全
体的にはとてもよく出来ていると思います。
息をもつかせぬスピーディーな展開なのに、それでいて登場人物の背景まで
しっかり描いてあり、心理状態の変化などもよくわかる。
航空機や軍事的なメカニズムも詳しく、またわかりやすく書いてあり、ハラ
ハラドキドキして楽しい時間を過ごすことができました。

いやあ、たいした新人が出てきたもんだ。作者は『和製トム・クランシー
といったところだな。こりゃあ将来楽しみだ。
む?経歴を見ると、

緒川 怜 (オガワ サトシ) 1957年生まれ

新人とはいってもけっこうおじさんのようである。

たしかトム・クランシーも、保険代理店を経営しながら『レッド・オクト
ーバーを追え』を書いて、けっこういい年でのデビューだったと思うのだ
が、作者もこれからの活躍に大いに期待したい。

たぶん、これは映画化されるでしょう・・・