金門島流離譚 船戸与一




中国と台湾の間で帰属の曖昧な、現代史の生んだ「空白の島」とも
いえる金門島台北を舞台に主人公は偽造品ビジネスに手を染めて
いる。その金門島の歴史背景や国際情勢をとりあげながら物語を進
めていくやりかたはいつもながら見事だが、2つの物語の両方に女
性の強姦のシーンや、主人公のヘビースモーカーやアル中ぶりがあ
って読むに耐えれません。主人公の周りもみんな死ぬか不幸な目に
あい、主人公自身も最後には死ぬか破滅を迎えるいつものパターン、
これにももううんざりです。

船戸与一、昔は好きで文芸書が発売されるとすぐに買っていたけれ
ど、最近はご無沙汰しているのはこのへんにあるんだよなー。

最近は清涼感あふれる本を読む機会が多かったので、今回はこのへ
んがいつになくひっかかった。

船戸センセイ、さようなら。

★☆☆☆☆