この胸に深々と突き刺さる矢を抜け (上下)





白石 一文

(上)
「週刊時代」の編集長、カワバタ・タケヒコは、仕事をエサに、新人グラビアアイドル、フジサキ・リコを抱いた。政権党の大スキャンダルを報じる最新号の発売前日、みそぎのつもりで行った、その場限りの情事のはずだった。世俗の極みで生き続けた男が、本来の軌道を外れて漂い始める、その行き着く先にあるものは?白石一文が全身全霊を賭けて挑む、必読の最高傑作。

(下)
スクープ記事は大反響を呼ぶが、上層部から圧力がかかり、編集部内の人間関係もねじれ出す。もつれて膠着する状況のなかで、カワバタは、ある運命的な出会いへと導かれる。まるであらかじめ定められていたかのように。思考と引用をくぐり抜けた後に、「本当のこと」が語られる。現代を描き続ける著者が、小説という表現の極限を突き詰めた渾身作。いよいよ完結。

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たまたまこの本の書評を読んだ機会があった。各方面で大絶賛のようですね。この本の題名や表紙の絵は強烈なイメージだったので記憶の中に残っていた。
こういう話題作は図書館では多くの人が予約待ちなのだが、何故か新刊コーナーに普通に置いてあったので借りてみた。

この本を読む前に素晴らしい出来映えのアフリカのルポの本を読んだばかりだったこともあるせいか、日本ならではの問題や、それを描く著者に『軽さ』を感じてしまい、どうも楽しめませんでしたね。カワバタ・タケヒコのセリフを借りての著者独特の考えも共感できるものも少ないし。

各方面では大絶賛のようですので、おいらの感じ方がやはり特殊なのでしょうね。