ルポ資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄

白戸 圭一



石油、金、ダイヤモンド、レアメタル…。先進国を支える貴重な資源が大量に眠る大陸、アフリカ。かつての貧困の地が今、高度成長を続けている。だが、その成長の地で犯罪や紛争が頻発し、麻薬の密輸、金融詐欺、海賊行為など国境を越える暴力となって日本にも襲いかかる。資源ブームに沸くアフリカでなぜ、暴力の嵐が吹き荒れるのか。元現地特派員が自らの目で見たアフリカ社会の今を報告する。

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この本はすばらしい。こばとし大絶賛。星でいうなら5つ星。

このルポは自分が現地にて肌で感じた問題を、自分で考え、自分で調べ、自分で行動し、自分の目で見て、自分が真実を感じ取り、自分の力で文章を書き上げたものですね。
提起した問題や取材の行動力、まとめあげる文章の素晴らしさ、おいらが最近読んだ本の中でも群を抜いて秀逸なものであったと思います。

最近の大学生は、何か物事を調べてレポートにする際、ネット上のWikipedia(ウィキペディア)あたりの文章をそのまま『コピペ』するだけだと聞く。これだと自分で文章をまとめる力はまったくつかないよね。この本を読んでみて、自分で何かを纏め上げるとはどういうことなのか感じてほしいものである。

さて、アフリカでは人の命があまりにもあっさり奪われてしまう現実に、犯罪者たちはどのような考えを持っているのか車泥棒にインタビューしているね。怖いよ・・・人の命を奪うことは何とも思っていないようだ。簡単に言えば、「善良な自分の両親が目の前で虐殺されたのに、何故ほかの人は生きているのか。自分もそういう目にあったのだから、車を奪う際に抵抗するヤツがいたら命を奪うことに何のためらいもない」
我々日本人はアフリカを旅するときに、現地の人々はこのように考えていることを理解して慎重に行動しなければならない。運悪く犯罪者に遭遇した場合にも、抵抗することなどもってのほかである。

殺人、虐殺、強盗、内戦、海賊、誘拐、強姦、麻薬、人身売買、役人汚職、環境破壊、犯罪組織、民族紛争、あまり目にしたくない言葉がたくさん出てくるね。凄まじい経済成長の影に、その恩恵を受けない貧困層が感じる絶望的な格差社会が根底にあるのだろう。

さて、この本を読んでの感想は書いても書いてもキリがないのでやめておく。みなさんにもぜひ一度は読んでおくことを進める。読んでいても明るい気分になれないのが痛いところですが・・・

もう一つ最後に。
さきほどの車泥棒の話は、来年度W杯が行われる国なんですけど・・・治安は大丈夫なのでしょうか・・・心配だ。