NHK 新漢詩紀行 友愛深厚篇



友情、喜び、悲しみ、怒り…。李白杜甫、王維などの名作漢詩50篇余の原詩文、読み下し文、訳文、解説を掲載。舞台地の風景写真も掲載する。中国音表記付き。


石川 忠久/監修
日本放送出版協会/編
アジア・コンテンツ・センター/編
山口 直樹/写真

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

素晴らしい漢詩は情景が目に浮かんでくるよね。杜甫の『絶句』なんて最高だと思います。

江碧鳥逾白(こうみどりにしてとりいよいよしろく)
山青花欲然(やまあおくしてはなもえんとほっす)

今春看又過(こんしゅんみすみすまたすぐ)
何日是帰年(いずれのひかこれきねんならん)

前半の、一点の曇りもない晴れやかなで情景と、後半の望郷の想いの対比が素晴らしさを増しているよね。漢字20文字でこれだけのことを表現できる『漢詩』って素晴らしいと思います。

この本、新刊コーナーにあったので何気なく借りてみたけれど、なかなかよかったなあ。
情景を頭でイメージするのもいいですが、この本では名詩の舞台地の風景写真や情景写真も掲載していて、いっそう鮮烈に感じるね。

その中でもおいらが特に秀逸だと感じたのがこの詩の写真。写真をお見せできないのが残念だけど、おいらはこういう写真こそが撮りたかったのだよと心から思う写真でしたね。
誌だけ紹介します。

春夜

春宵一刻値千金--------春宵一刻 値千金
花有清香月有陰--------花に清香有り 月に陰有り
歌管楼台声細細--------歌管楼台 声細細
鞦韆院落夜沈沈--------鞦韆院落(しゅうせんいんらく)夜沈沈


[訳]
春の夜は一瞬が大金に値するほど貴重である。
花には清らかな香りが漂い、月はおぼろで美しい。
楼台に響いていた歌声や管弦の音はにぎわいを終え、いまはか細く聞こえるばかり。
中庭にひっそりとブランコが下がり、静かに夜はふけていく。

NHKで、『新漢詩紀行』という番組をハイビジョンで放映しているのですね。

http://cgi4.nhk.or.jp/feature/index.cgi?p=xMkzdSpZ&c=3

3月30日(月)~BShi 午前7:25~7:30 (月曜~金曜)
毎週土曜 BShi 午前6:00~6:25
翌週金曜・深夜 BShi 午前1:30~1:55

いいなあ。こんな番組をゆっくり見てみたいが・・・平日は無理だな。週末もこの時間はだいたい走りか山だしな・・・我が家はBSデジタルは録画できないしな・・・・
夜にゆっくり酒でも飲みながら見たいやね。BS2あたりでの再放送を楽しみにしていよう。



『さくぞー』にはこの詩を送ろう。キミのおうちみたいだな。

春水満四澤(しゅんすい したくに みち)

夏雲多奇峯 (かうん きほう おおし)

秋月揚明輝 (しゅうげつ めいきを あげ

冬嶺秀孤松 (とうれい かんしょうを ひいづ)

春は水満々にして沢を満たし、夏は峻烈な峰の上に雲 は沸き立つ。 秋ともなれば月青くして輝きに辺りは冴え静まり、冬は雪を戴いた松に普遍の趣を感づ。