残虐行為記録保管所



チャールズ・ストロス/著 金子浩/訳

数学者チューリングが基礎を築いた数学的魔術により、平行宇宙から魔物じ
みた異生物が侵入してくる怖れがあることが判明した。この魔術的災厄の防
止を目的として、英国政府が設立した組織が"ランドリー"である。ボブ・ハ
ワードはこの秘密組織の新米エージェント。初の現場任務は、アメリカから
の帰国を希望する大学教授との接触だった。哲学教授で赤毛美人のモーは、
自分では気づかぬうちにオカルト的国防にかかわる研究をしていたため、ア
メリカ政府から帰国を許されなかったのだ。たんなる調整だけの初級任務の
はずだったが、中東系テログループに彼女が誘拐されたことから事態は一変
する。SWATチームの突入により彼女は無事奪還されたが、テログループの目
的は謎だった。リーダーらしき人物がドイツ語を話していたことから、背後
ナチス・ドイツの魔術研究機関アーネンエルベとの関連も推測された。真
相究明のため、ボブとモーの二人は、アーネンエルベの資料があるアムステ
ルダムの残虐行為記録保管所へと向かうが…!?表題作「残虐行為記録保管所」
と、その続篇で2005年ヒューゴー賞ノヴェラ部門受賞作の「コンクリート
ジャングル」の2篇を収録したSF+クトゥルー+スパイスリラー。

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まあなんというか、海外の作家の想像力というか創造力は凄いよな。SF、
クトゥルー、スパイの話を一緒にしてしまうんだもんな。
この本、読んでいても話がいきなり飛躍するので理解するのに時間がかか
るけれども楽しく読めました。

おいらはほんとにたまにしかSFの本は読まないので、こちらの方面の情報
や知識はまるでないけれど、いくつか読んだ中でも『ヒューゴー賞』とか『
ネビュラ賞』の受賞作品は面白い本が多いような気がするなあ。
賞をとった作品をありがたがることは、へそ曲がりのおいらにはないと思っ
て思っているけれど、SFの本でこれらの受賞作品は外れが少ないでっせ。

どこかの国の芥○賞や直○賞の本は、少ししか読んだことがないけれど、あ
まり当たったことがないというか、まあたぶんおいらには理解する力がない
のだろう。