麻布の名家に生まれながら、それぞれに異なる生き方を選んだ
敷島四兄弟。
奉天日本領事館の参事館を務める長男・太郎、日本を捨てて満
蒙の地で馬賊の長となった次郎、奉天独立守備隊員として愛国
心ゆえに関東軍の策謀に関わってゆく三郎、学生という立場に
甘んじながら無政府主義に傾倒していく四郎…ふくれあがった
欲望は四兄弟のみならず日本を、そして世界を巻き込んでゆく。
未曾有のスケールで描かれる、満州クロニクル第一巻。
軍部の暴走をめぐり対立する太郎と三郎、流されるままに謀略
馬賊として軍に協力することとなった次郎、自分の犯した罪の
ため上海に潜伏する四郎…四兄弟の苦悩をあざ笑うかのように
満州、そして上海で戦火が炸裂する。四つの視点がつむぎだす
満州クロニクル、「満州事変」を描く第二巻。
船戸センセイの新刊。
書店で見かけても、「買ってまで読まねーぞ」と思っていたが、
図書館にあったので借りてみた。
日本社会全体が混乱し、農村部は疲弊しきっていたこの時代、
満州を武力によって侵略することで解決しようとしていた軍
部、また軍部だけでなく国民全体も閉塞感を打破すべく国全
体が燃えていたようだ。
この時代の物語を船戸与一が独特の文で書き上げている。
さて、この小説の特務員、いつも歴史の節目に出現するが、
大河ドラマ「功名が辻」の一豊さまじゃあるまいし、そんな
に都合よくこの人中心にまわるのかいな(w
きっとこの人は、冒頭にでてきた会津藩の女の人の息子で、
敷島家に恨みをもつ人であろうと思うがどうだろうか。
これから何巻まで続くのかはわからないが、船戸センセイのパ
ターンからしてどのような結末を迎えるか何となく想像がつい
てしまうが、いい意味で裏切られて楽しい小説になっていくと
いいな。