砂漠の船 篠田節子



ばらばらだ……。何もかも終わった。幹郎は、父と母が出稼ぎ労働者で
あった淋しい家庭に育ったが故に、家族が一緒に暮らす平凡な家庭をつ
くることを第一に生きてきたが……。円熟の直木賞作家篠田節子が、細
密画のように描くひび割れた家族の肖像。



いろいろと考えさせられる本だった。

誰でも仕事や家庭の状況で「転機」というものは必ず訪れるもので、そ
のたびに「決断」を強いられるものだろう。
その時の「決断」が最良の選択なのかは誰にもわからないし、結果がで
るには長い年月が必要なものもあるだろう。
後になって後悔することもあるけれど、そのときに知恵を振り絞って考
えた結果ならしかたないと思うがなあ・・・

この本の主人公は、「家族のために最良の選択をした」と思っていたが
どうも空回りだったようだ。自分の理想論を押しつけて、妻のチャンス
を摘み取ってしまったばかりか職もやがて失ってしまう。

たとえ夫婦であっても本当の心の中はわからない。「転機」が訪れた際
の「決断」については家族で納得するまでよく話をすることが大事かな。

奥田英朗/著 の「サウスバウンド」のお父さんは破天荒で独善的だった
けど家族に受け入れられていたが、この本のお父さんはこれからかなり
寂しい人生を歩むことになるだろう。

おいらは どっち?(w