藩校早春賦 & 夏雲あがれ(上下)
藩校早春賦
夏雲あがれ(上下)
宮本昌孝 著
この本は江戸時代後期の東海地方の小さな藩を舞台とした時代
小説だ。「夏雲あがれ」は「藩校早春賦」の続編で7年後の話
になる。借りていたままになっていた本なので、とりあえず読
み始めてみたがだんだん引き込まれていった。
厳しい階級社会の中で、生まれながらにして身分の違いからく
る理不尽、成長していくにしたがい見えてくる世の中のしくみ
の不条理や欲望にまみれた大人たち、親友が成長していくよう
に見えて自分のみが取り残されていくような焦燥感、この世の
中のなかで自分にはいったいなにができるのだろうという若者
の無力感などがこの物語にはよく描かれていて、悩みながらも
持ち前の行動力で正面から突破していく主人公の様子は痛快で
あって、それは長らくおいらには忘れかけていたものである。
また、その若者たちを、厳しくも暖かく見守る周りのの大人た
ちの態度もおいらにはないものである。
周りにも厳しいが自分にはもっと厳しい清貧の老武士。心ある
ものからは頼りにされ、濁っているものからは煙たがられる、
おいらもそんな存在になろうかな。今のままじゃあ正反対で周
りには興味はないし自分には甘いからなあ。うーむいかんなあ
と思いながらも、いいや明日からにしよう。あ!明日は八方へ
スキーだ。天気がどうなることやら・・・。
とても面白く、ためになり、考えさせられ、読んだあとにも清
涼感の残るいい本でした。
久しぶりの
★★★★☆